
失業給付と介護職からの転職解説
介護職はやりがいを感じられる一方で、重労働であるため腰を痛めやすかったり、仕事内容に対して収入が割りに合わなかったりで、転職を考える人は少なくはないようです。
これを読んでいる方の中にも、家庭の事情や負傷などの理由で、介護職から別の職業への転職、今働いてる施設から他の施設への転職を考えている方は多いのではないでしょうか。
ここでは、失業給付(失業保険)の説明から再就職先にはどんなところがあるか、介護職への適性について紹介しています。
ぜひ参考にしてみてください。
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目次
失業給付とは?
雇用保険の失業給付とは、会社勤めの人が失業した場合に、国が再就職するまでの生活費を支給するというものです。
受給するためには、受給条件を満たしている必要があります。
失業給付の受給条件
①在職中に雇用保険に加入しており、退職した日からさかのぼること2年間のうちに被保険者期間が通算12か月以上あることです。(特定受給資格者と特定理由離職者の場合は通算6か月以上)
被保険者期間とは、退職した日から1か月ずつさかのぼっていき、その1か月のうちに出勤日数が11日以上ある月のことです。
②働く意思と能力
以下の項目のうち、該当しないものが1つでもあると受給できません。
・就職したいという積極的な意思がある
・いつでも就職できる健康状態と家庭環境がある
・積極的に就職活動を行っているものの、就職できずにいる
病気やけがによる退職の場合
失業給付の受給条件として、「いつでも就職できる健康状態と家庭環境がある」という項目を満たさなければなりません。
つまり、重い病気やけがで退職した場合は、すぐには就職不可能と判断され、原則として失業給付を受給することができません。
しかし、退職後に失業給付の受給資格を満たしており、病気やけがのため15日以上就職できないという場合は、「傷病手当」の受給が可能です。
また、30日以上就職できない場合は、傷病手当を受給するか、基本手当の受給期間を延長するか、選ぶことができます。
・軽度の病気やけがの場合
軽度の病気やけがでも退職後14日以内で完治した場合は、特定理由離職者として失業給付の受給が可能です。
手続きは、管轄のハローワークに「傷病手当支給申請書」を提出してください。
・15日以上の治療が必要な場合
退職し、求職申し込みをした後に15日以上で病気やけがで就職が困難な場合は、傷病手当の受給が可能です。
手続きは、管轄のハローワークに「傷病手当支給申請書」を提出してください。
・30日以上の治療が必要な場合
退職し、求職申し込みをした後に30日以上病気やけがで就職が困難な場合は、傷病手当を受給するか、基本手当の受給期間を延長する(最大4年間)か、どちらかを選ぶことができます。
これは、本人の意思によって決定できます。
傷病手当を受給する場合は、「傷病手当支給申請書」をハローワークに提出してください。
その後、決められた日に給付金が支給されます。
基本手当の受給期間を延長する場合は、「受給期間延長申請書」をハローワークに提出してください。
失業給付の手続きについて
手続きは全てハローワークで行います。
ここでは手続きの流れを説明しています。
必要書類を揃える
・離職票
・雇用保険被保険者証
・印鑑
・証明写真(直近3か月以内、たて3㎝×よこ2.5㎝程度)
・本人名義の銀行預金通帳(郵便局の預金通帳も可)
ハローワークへ行く
①で提示した必要書類を持って、自分の住所地を管轄するハローワークへ行きましょう。
求職登録を行い、必要書類を提出すると、受給資格者のしおりが配布され、雇用保険説明会の日時が知らされます。
ハローワークで手続きしてから通算7日間を待機期間といい、この期間中は失業給付を受給することはできません。
待機期間の7日間とは、連続していなくても通算7日間であればよいので、日雇い労働などは問題ありません。その代わりに労働した日数だけ待機期間は延長されます。
また、退職理由が自己都合の場合は、待機期間が終了した翌日から、3か月間の給付制限が始まり、この3か月間は失業給付を受給することはできません。
雇用保険説明会へ行く
雇用保険説明会には必ず参加してください。
雇用保険制度についてやハローワーク施設の利用方法などの説明があります。
説明会後に第1回の失業認定日が知らされます。
認定日ごとにハローワークへ行く
4週間に一度、指定された日にハローワークへ行き、失業認定申告書を提出することで、失業給付を受給できます。
失業認定申告書とは、前回の認定日から4週間の間の求職活動状況や収入の有無を記入する書類です。
退職理由と給付日数に関して
自己都合退職
在職中の雇用保険の加入期間によって決定します。
待機期間終了後に3か月間の給付制限が設けられ、その間は受給できません。
http://taisyoku-shitara.com/QA-001.html
会社都合退職
http://taisyoku-shitara.com/QA-001.html
退職した年齢と給付金額について
退職した年齢によって受給できる金額は異なります。
実際に自分が受給できる失業給付を計算してみましょう。
①離職票の賃金額の計を上から順に6か月分を足します。
離職票がない場合は、給与明細等で6か月分の総支給額の合計を出してください。
②①で算出した金額を180で割ってください。
③下の表で、②で算出した金額と年齢が一致する箇所にある説明通りに計算してください。
http://taisyoku-shitara.com/shitsugyo-004.html
転職に関して
介護食に関する転職については3つのパターンがあります。それぞれ自分に適するもの、今後つきたい職業や退職した理由から判断し、参考にしてみてください。
介護職から介護職への転職を希望されている方へ
介護業界は慢性的な人材不足であるため、雇用が安定していて求職すればすぐに職場を見つけられます。つまり、気軽に転職できるのです。
福祉施設の介護員の平均勤続年数は5.5年であり、一般企業よりも短いです。
非常勤のパート・アルバイトはよく求人が出ており、時給はどこも同じくらいで1000円前後です。
待遇やキャリアを上げたいのであれば正社員での転職、残業を減らしてプライベートな時間を増やしたいのであれば派遣社員での転職がおすすめです。
介護職の求人情報を探すのであれば、「カイゴジョブ(/http://www.kaigojob.com/)」など介護職に特化したサイトを利用することをおすすめします。
・上場している主な7つの介護サービス事業
①ツクイ
平均年齢 39.5歳 平均年収 389万円
②ケアサービス
平均年齢 34.9歳 平均年収 386万円
③シダー
平均年齢 37.9歳 平均年収 368万円
④メデカジャパン
平均年齢 37.3歳 平均年収 349万円
⑤アミーユ
平均年齢 35.8歳 平均年収 337万円
⑥メディカル・ケア・サービス
平均年齢 42.3歳 平均年収 334万円
⑦ニチイ学館
平均年齢 42.2歳 平均年収 291万円
・福祉施設介護員の平均年収統計
平均年齢 38.7歳
勤続年数 5.5年
平均年収 307万円
月額給与 22万円
年間賞与 44万円
労働時間 164時間/月
超過労働 4時間/月
介護職から他の福祉職への転職を希望されている方へ
他の業界への転職は経験がないと難しい場合が多く、就職できたとしてもリスクは高いものです。
そこで、介護での経験や知識を活かせる他の福祉職に就いてみてはいかがでしょうか。
需要も雇用もある福祉の業界ならば、長く仕事を続けることが可能です。
ここでは4つの職業を紹介しています。
①福祉用具の販売に携わる「福祉用具専門相談員」になる
社会福祉士や介護福祉士の資格を取得していれば、福祉用具専門相談員として業務にあたることができます。また、研修スキルアップ制度によってスキルアップもできます。
介護職ほど重労働ではありません。
主な勤務先:福祉用具販売・レンタル店、ドラッグストア、訪問介護事業所、福祉用具メーカー、スーパーやホームセンターの介護福祉用品売り場など
給料:平均月収 18万円~25万円
②「福祉系の学校の教員」になる
介護福祉士の資格取得後5年間の実務経験がある、または、介護福祉士の資格を取得していて国が定める研修を修了していれば、教員になることが可能です。
主な勤務先:福祉系高等学校、専門学校、短期大学、大学
給料:公立の場合、公務員の給与規定によります。私立の場合も公務員の給与規定に準ずることになっているため、公立とほぼ同水準であることが多いです。
③「介護支援専門員(ケアマネージャー)」の資格を取る
利用者との面談やケアプランの作成、モニタリングの実施といったデスクワークが主となるので、腰を痛めることもありません。また、手当てが厚く、報酬も一般的な介護職よりも高く設定されているのも魅力の一つです。
主な勤務先:居宅介護支援事業所、在宅介護支援センター、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、社会福祉協議会、保健センターなど
給料:平均月収 26万円
④高齢者や障害者の住環境について提案する「福祉住環境コーディネーター」になる
特に必要な資格はありませんが、福祉住環境コーディネーター検定(3級・2級・1級がある)を取得するとよいでしょう。介護施設や建築会社などに勤めながら取得するのが一般的です。
主な勤務先:福祉施設、建築会社、建築設計事務所など
給料:平均月収 20万円前後
介護職から一般企業への転職を希望されている方へ
一般企業への転職は難しい場合もありますが、介護職で培った知識や経験、体力、精神力はどの業界でも必要とされるものです。
医療系や福祉系の企業であれば、仕事もしやすいでしょう。
・転職事例の多い職種
①営業職
介護職から営業職への転職は、男性に多いパターンです。
営業職も介護職と同じで慢性的な人手不足であるため、転職しやすいです。
また、個人の成績で給料も上がりやすいのも魅力の一つです。
営業には「法人向けか、個人向けか」と「新規開拓か、ルート営業か」に分かれます。
医療・福祉系の企業の営業職であれば、知識と経験が活かせるでしょう。
人と接する機会も多い仕事なので、コミュニケーションをとるのが得意な方におすすめです。
②事務職
介護職から事務職への転職は、女性に多いパターンです。
20代の方では大企業などの事業会社の事務職へ、30代以降の方では知識と経験を活かせる介護施設系の事務や医療事務への転職が人気があります。
管理系の事務職であればPCスキルもあまり問われませんが、営業系の事務職では高度なExcelスキルが求められることもあります。
③販売・サービス職
アパレル、携帯家電、レジャー、旅行、ホテルなど種類はたくさんあるので、自分の好きなことを見つけやすいです。
また、どの業界も販売・サービス職は人手不足なので、転職しやすい傾向にあります。
人と接する機会が多い仕事なのでコミュニケーションを取っていきたい方に向いているでしょう。
まとめ
福祉系でもその他の業界でも人手不足である職種はたくさんあります。
やりたいことが見つからないという方は、人材紹介会社のキャリアコンサルタントに相談したり、様々な職種の人に話を聞いたりしてみるのも、一つの手でしょう。
諦めずに自分に合った就職先を見つけてください。
【介護職に向いている人とは 5つの適性チェックリスト】
介護の現場に求められるのはどのような人材なのか、どんな人が適しているのか、見ていきましょう。
・人とのコミュニケーションが好き
人間相手の職業であるため、人と接することが好きな人や得意な人が向いているとされています。
・状況判断ができる
利用者の症状が急変した場合には、適切な判断と迅速な対応が求められます。
・思いやりと忍耐力がある
利用者の立場になって考えニーズを把握できる人や体力的にも精神的にも強い人が向いています。
・上手にストレス発散ができる
利用者さんやその家族など様々な人と接する職業であるため、ストレスが溜まることもたくさんあります。気持ちのコントロールやストレス発散が上手にできる人が好ましいとされています。
・体力がある
入浴介助やベッドでの体位交換では、体力が必要となります。1日に何人も抱えることになるため、腰痛に悩まされることも少なくありません。
これらの項目の中で該当するものが多ければ、介護職に適していると考えてよいでしょう。
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