言語聴覚士とは?仕事内容から資格・就職情報まで徹底解説!

みなさん、「言語聴覚士」と聞いてどんな職業か思いつきますか?

略称でST(Speech-Language-Hearing Therapist)とも呼ばれますが、普段聞き慣れない言葉ですから、知らない方がほとんどだと思います。

ここでは、言語聴覚士とはどんな職業か、就職や実態はどのようなものか、資格の取り方など幅広く説明しています。

言語聴覚士とは

リハビリテーション専門職の一つで、病気や事故、加齢、生まれつきなどで、話すことや聞くこと、食べること、表現することが困難な方への支援をします。

仕事内容

主な仕事内容は大きく分けて5つあります。

 

話すことへの支援

声帯や舌、唇などといった発声発音器官に障害がある構音障害や、声に異常が発生する音声障害、流暢に話すことが難しい吃音の方に訓練行ったり、障害の評価をします。

 

聞くことへの支援

聴覚障害のある方に、検査や訓練、補聴器のフィッティングをなどを行います。

また、対象が言語獲得期にある幼児の場合は、ことばの獲得のサポートも行います。

 

食べることへの支援

食べ物が口からこぼれる、うまく飲み込めない、むせるといった摂食・嚥下障害の方へ、咀嚼して飲み込むために必要な器官の運動訓練や飲み込む反射を高める訓練を行います。

訓練には、水やゼリー、実際のごはんを使うことがあります。

また、摂食・嚥下障害の原因の調査も行います。

 

ことばの遅れへの支援

知的発達の遅れや対人関係の障害、脳の損傷などによって、言語機能の発達が遅れている子どもに対して、ことばやコミュニケーションに関心を持たせる、語彙や文法、文学の習得を促すといった訓練・指導を行い、ことばの獲得をサポートします。

 

成人の言語障害への支援

失語症や記憶障害、認知症の方に対して、発生やメカニズム、症状を把握して、一人ひとりに対応したプログラムを組み立てて訓練を行います。

 

職業実態

言語聴覚士の実態はどのようなものか、細かく見ていきましょう。

 

年収

勤務先施設の規模や種類、地域、常勤・非常勤などの働き方によってばらつきがあるため、一概には言えませんが、平均年収400万円〜500万円と言われています。

非常勤・パートだと、時給2,000円が相場です。

勤務先は「医療機関」なのか「介護施設」なのか、働き方は「常勤」か「非常勤」かをポイントにWebサイト等で公開されている求人情報を参考としてみてください。

 

年齢層

20代が全体の約3割、30代が全体の約4割を占めています。

 

男女比

男:女=2:8

女性が多い職業ですが、男性に不向きであるということは全くありません。

 

離職と再就職

言語聴覚士は国家資格であるため、一時的に職を離れる時期があっても再就職は比較的容易です。復職率も高いです。

また、リハビリは夜間にはしないため、夜勤がないため、続けやすいです。

残業もなく、離職率も低いです。

 

適性

人と接するので、人間そのものに興味や関心がある人や相手に共感しようとする心を持った人、コミュニケーション能力が高い人が向いています。
また、言語聴覚障害の学問・技術は日々進歩しているため、資格取得後も学び続ける意欲と向上心を持ち続けることが大事です。
その他、医療や保健、福祉、教育など多職種の人と連携をして支援を行うため、協調性を持つことも大事です。

 

やりがい

コミュニケーション障害は、一度や二度の訓練で急激に症状が改善したり、問題がすぐに解決したりすることは少なく、回復や改善までの道のりは長くなることが多いため、「利用者さんの回復を感じた時」や「利用者さんの家族から喜びの声をもらった時」という声が多いです。

利用者さんのペースに合わせて根気強く訓練を行っていくため、なかなか症状が改善しない時には大変さも感じる仕事だからこそ、良い反応や機能回復の兆候が見えた時の喜びややりがいは非常に大きく、言語聴覚士の原動力になっています。

 

今後

現在、約2万2千人の言語聴覚士が仕事に従事していますが、治療や支援を必要としている患者さんの数に対してまだまだ不足している状態なので、今後も需要があります。

 

言語聴覚士になるには

言語聴覚士は国家資格であるため、国家試験の受験資格が必要になります。

 

どんな学校を卒業すればいいか

高校卒業後、文部科学大臣が指定する大学(4年制、3年制短大)、または、厚生労働大臣が指定する言語聴覚士養成所(3年ないし4年制の専修学校)を卒業する必要があります。

一般の4年制大学を卒業した場合は、専修学校(2年制)で必要な知識と技能を修得する必要があります。また、外国の大学などで言語聴覚士に関する学業を修めた場合は、厚生労働大臣の審査・認定を受けることで受験資格が得られます。

最短ルートは、高校卒業後に国が指定した養成校(専門学校)への進学です。
養成校を卒業すると国家試験の受験資格が付与されます。

資格について

言語聴覚士の資格を得るには、国家試験に合格し厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。言語聴覚士国家試験は毎年1回、2月中旬の土曜日に行われます。なお、受験料は35,700円です。

試験の内容は5肢択一式の筆記試験です。午前も午後も100問ずつ、計200問が出題されます。合格基準は例年120点以上です。

全体の合格率は60%台と低いため、難しそうな印象を受けると思いますが、これは既卒者を含めた合格率です。実際のところ、養成校の新卒者の合格率は80%を超えており、それ程の難関というわけではありません。また、各養成校は最終学年になると国家試験合格に向けた準備や対策が行われます。

試験科目は、基礎医学、臨床医学、臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉・教育、言語聴覚障害学総論、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学、発声発語・嚥下障害学及び聴覚障害学です。

 

言語聴覚士の就職

活動領域は医療、保健・福祉、教育など幅広くあります。
主な勤務先は、総合病院や大学病院、リハビリテーション専門病院、リハビリテーションセンター、老人保健施設、特別養護老人ホーム、福祉施設、養成校、学校教育など言語聴覚士の就職先は多岐に渡ります。

割合は、医療系に進む方が67.8%、福祉系が15.3%、教育系が5.3%となっています。

 

言語聴覚士

言語聴覚士になる前に知っておくべき5つのこと

言語聴覚士になる前に知っておくべき基礎知識を紹介します。

 

失語症

脳の言語中枢の損傷によって起こる言語障害のことです。

症状として、聞いて理解する、話す、書く、読むなど言葉に関する能力に障害が起こります。

 

摂食・嚥下障害

食べること・飲み込むことの障害です。

症状は、口から食べ物がこぼれることや飲み込めないこと以外にも、食事後ガラガラ声になる、食べると疲れるなどがあります。

 

吃音

音を繰り返したり、つまったりして流暢に話せない障害です。

どもっていると聞き手が感じても、本人は吃音だと思っていない場合もあります。

 

音声障害

声に関する障害です。

症状は、発声がスムーズにできない、性別や年齢に合った声が出ない、ストレスやヒステリーで声が出なくなるなど様々です。

 

構音障害

正しい発音ができない障害です。

構音とは声帯や舌、唇などを使って話す動作のことです。

 

まとめ

話すことや聞くこと、食べること、表現することに困難を抱える方々にとって、言語聴覚士は必要な存在です。

しかし、需要に対して数がまだまだ足りないのが現状です。

今後活躍が期待できる職業ですので、目指してはいかかがでしょうか。

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