高齢者に見られがちな病状と介護リスク

高齢になるにつれて抵抗力や身体機能は低下し、病気のリスクは高まっていきます。

病気が原因で要支援状態・要介護状態になるケースは多く、些細な体調の変化にも注意が必要です。また、自覚症状を伴わない場合も多いため、定期的な検査も必要です。一番身近な存在である家族がいち早く病気に気づくことが何よりも大切なのです。

ここでは高齢者に多い病気のうち、特に代表的なものについて説明しています。

 

<循環器疾患>

①高血圧症

65歳以上の約60%が高血圧といわれています。脳卒中や心筋梗塞につながることもあるため、注意が必要です。

急激な温度の変化や興奮や緊張といった感情の変化、食生活、喫煙、ストレスが関係して血圧が急に上がることもあります。

減塩やカリウムの摂取、動物性脂肪の制限をしましょう。

②うっ血性心不全

初期では息切れや動悸、足のすねや甲の部分がむくみなどの症状が現われ、重症になると安静にしていても息苦しく感じます。

特に高齢者の場合は寝たきりになることが多く、廃用症候群にも注意が必要です。

減塩や禁煙、動物性脂肪の制限をしましょう。

③虚血性心疾患

虚血とは血がない状態のことをいいます。血液が心筋にいきわたらないことよる、胸の痛みや絞めつけられるような苦しさが症状の特徴です。重症の場合、血圧が下がってショック状態となり、全身が虚血状態になることがあります。

動脈硬化の予防が大切です。

④不整脈

心筋梗塞や狭心症の原因になることもあるため、注意が必要です。

脈拍が速くなったり(1分間に100回以上)遅くなったり(50回以下)し、それに伴って痛みや息苦しさが症状として現れます。

ストレスを溜めないことが予防につながります。

 

<消化器疾患>

①逆流性食道炎

60歳以上の高齢者、特に女性に多いです。

食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋の機能の低下や欧米化した食事による胃酸の過剰分泌が原因で、胃酸が逆流し食道の粘膜を荒らすことによって起きる病気です。

症状に呑酸や胸焼け、胸痛、嚥下障害、咳があげられます。

②カンジダ性食道炎

食道の感染症の中で最も多く、全身状態が低下した時に感染しやすいです。

症状として嚥下困難や胸骨部の痛み、嘔吐が多くみられますが、無症状の場合も少なくありません。

日和見感染的要素がとても多いため、日頃から食事や睡眠を十分にとり、免疫が低下しないようにすることが大切です。

③慢性胃炎

胃の粘膜や胃液の分泌腺が萎縮することによって発症する病気で、胃がんに伴って発症する場合もあります。。

主な症状は上腹部の胃もたれや胸やけ、吐き気、食欲不振、全身の倦怠感です。

暴飲暴食や香辛料などの刺激物の摂り過ぎ、カフェインなどを含んだ飲み物の摂り過ぎ、アスピリンなどの薬物の多用、喫煙、寝不足、ピロリ菌の感染が原因と考えられます。

規則正しい生活が予防につながります。

④慢性肝炎

原因の約60~70%はC型肝炎ウイルスであり、急性C型肝炎の少なくとも75%が慢性肝炎になります。また、B型肝炎ウイルスに感染(ときにD型肝炎にも混合感染場合もある)すると、約5~7%が慢性化します。

※A型肝炎、E型肝炎ウイルスは慢性肝炎を起こしません。

肝硬変が発生するまでは明らかな症状がないまま、徐々に慢性肝炎が進行することが多いです。

主な症状は、倦怠感、食欲不振、疲労などがあげられます。その他にも、微熱や上腹部の不快感、稀に黄疸もみられます。

 

<精神疾患>

①認知症

脳細胞が死んだり、働きが悪くなったりすることによって起こります。

代表的な症状として見当識障害や記憶障害、物盗られ妄想、弄便、睡眠障害などがあげられますが、生活歴が影響していることが多く、人によって症状は様々です。

認知症には主にアルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の4つがあります。認知症患者のうち60%がアルツハイマー型認知症で、20%が脳血管型認知症です。

青魚や大豆製品、緑茶、えごま油が認知症に効果的です。

②うつ病

日本人の5人に1人が一生に一度は経験する身近な病気です。

何らかの原因で気分が落ち込むことによって、心身に不調が現れます。具体的には、人に会いたくない、物事が億劫になる、悲観的になる、集中できないといった精神症状や食欲不振、不眠、動悸、頭痛、肩こりといった身体症状が現れます。

気分の落ち込みによる不調が2週間以上続き、仕事や日常生活に支障が出ている場合、うつ病の可能性があります。

まじめで仕事熱心、完全主義で几帳面、人にどう見られているか気になる、思考の柔軟性が乏しいといった素因を持つ方がうつ病になりやすいといわれています。

うつ病は治る病気であり、休養をとることと根気強く治療に励むことが大切です。

 

<神経疾患>

①パーキンソン病

ドーパミンが減少することによって発症すると考えられていますが、原因は分かっていません。

特徴的な症状は、振戦や筋肉の固縮、動作の緩慢、姿勢保持反射障害です。その他に不眠やめまい・立ちくらみ、字を書くとだんだん字が小さくなる、歩くと自分の意思で止まれない、足がすくむといった症状があります。

 

<内分泌・代謝疾患>

①糖尿病

インスリンの分泌や働きが悪くなることによって起こる糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病の2つがあります。

1型糖尿病はインスリンを分泌する細胞が破壊されるために発症し、子どもや若年の成人に多いのが特徴です。

2型糖尿病は遺伝的要因に加え、生活習慣が原因で発症します。糖尿病患者の約95%が2型糖尿病です。

主な症状はのどの渇きや尿の量・回数が多くなる、全身がだるく疲れやすい、 目のかすみ、立ちくらみ、手足のしびれがあげられます。放置すると網膜症や腎障害、神経障害などの合併症が現れることがあるため、早めの受診が大切です。

②甲状腺機能低下症

甲状腺の機能が低下すると代謝機能が低下するため、眠気や記憶障害、体重の増加、無月経、抑うつ、脱毛、むくみなどがみられます。

ヨードを多くふくむ海藻類(昆布、わかめ、海苔、ひじきなど)を摂りすぎないように注意しましょう。

③高脂血症

高カロリー高脂肪の食事と運動不足などによって、 血中のコレステロールや中性脂肪が増加することを高脂血症といいます。

高脂血症自体には自覚症状がありませんが、放置しておくと動脈硬化や急性膵炎を引き起こすこともあります。

予防として穀類や緑黄色野菜、食物繊維、魚をバランス良く摂取することを心がけましょう。また、水泳やジョギング、ウォーキングといった有酸素運動が効果的です。

④痛風(高尿酸血症)

尿酸値が高くなることによって、関節痛が起きる病気です。

プリン体やアルコールを控え、尿をアルカリ性にする働きがある海藻や野菜、きのこ、芋、大豆製品などを積極的に摂るようにしましょう。

 

<骨・運動器疾患>

①骨粗しょう症

骨が脆くなり折れやすくなる病気です。

骨折によって寝たきりになったり、日常生活行動(ADL)の低下することも考えられます。

禁煙やカルシウムの摂取が予防になります。

②変形性関節症

初期症状に歩き始めの膝の痛みがあり、その後は膝の内側痛や引っかかり感、安静時痛、夜間痛と悪していき、膝が伸びない、O脚変形などといった症状が出てきます。

膝に負担がかからないようにダイエットをしたり、膝を曲げたり伸ばしたりする筋力を鍛えたりすることで予防できます。膝が痛い方は、プールでの水中歩行や、エアロバイクなどが良いでしょう。仰向けに寝て膝を伸ばしたまま、脚を上げ下げするのも効果的です。

③慢性関節リウマチ

関節に炎症が起き、痛みや変形などの症状が左足が痛むと右足も痛むようになるというように左右対称に現れます。初期症状には関節以外の症状、倦怠感、食欲不振、体重減少、発熱があります。

引き起こしやすい合併症として皮下結節や心膜症、肺線維症、胸膜炎などがあげられます。

 

<腎・泌尿器疾患>

①腎硬化症

高血圧によって引き起こされる病気で、良性腎硬化症と悪性腎硬化症の2つに分けられます。

良性腎硬化症の症状には肩こりや動機、めまいなどがありますが、自覚症状がないまま進行し、蛋白尿や心臓の病気で発見されることもあります。

悪性腎硬化症の症状には激しい頭痛や意識障害、視力障害、心不全などがあります。

②慢性腎不全

主な原因は高血圧と糖尿病です。

症状として夜間の排尿や疲労、吐き気、かゆみ、筋肉の引きつり・痙攣、感覚の喪失、錯乱、呼吸困難、皮膚の黄色化などがあげられます。

十分な睡眠と規則正しい生活が予防と治療の基本です。

③前立腺肥大

高齢の男性によくみられ、40~50代で症状が出始め60歳を過ぎると半数以上の方が夜間頻尿と放尿力低下を訴え、65歳前後で治療を始める方が多いです。80歳までに80%の方が前立腺肥大症になるとみられています。

生命にかかわるような病気ではありませんが、放置すると尿閉することもあります。

排尿を我慢しないこと、体を冷やさないこと、便秘に気をつけること、適度に運動することで予防できます。

 

<血液疾患>

①貧血

高齢になると胃酸の分泌が低下し、鉄分の吸収率が落ちるため貧血になりやすくなります。

レバーや肉類から鉄分を摂ると中性脂肪が多くなるため、魚や野菜から摂ると良いでしょう。

 

<感覚器疾患>

①白内障

白内障とは眼球の水晶体が濁り、光を通しづらくなったり、光が濁り部分にあたって乱反射してまぶしく感じたりする病気です。進行すると失明の恐れもあります。

喫煙や肥満は白内障の進行を早めるため注意しましょう。また、紫外線の強い日にはサングラスをするなどして予防しましょう。

 

<皮膚疾患>

①老人性皮膚そう痒症

発疹のない皮膚にも強いかゆみを感じるのが特徴です。

皮膚が乾燥しやすい冬季に起こりやすく、特に皮膚の水分や皮脂の分泌が少ない高齢者は注意が必要です。

かゆみを誘発しやすいウールや化学繊維の衣類は避け、保湿することで予防できます。

 

<呼吸器疾患>

①COPD(閉塞性肺疾患)

主な原因は喫煙であり、喫煙者の15~20%が発症します。

特徴的な症状として歩行時や階段昇降など身体を動かした際の息切れや慢性のせきやたんがあげられます。

②肺結核

ヒト型抗酸菌と牛型抗酸菌が原因で発症します。

発熱やせき、たん、易疲労感、食欲不振、寝汗などの症状が長期間続くようであれば肺結核の可能性があります。

③肺線維症

肺が炎症を起こし線維化することによって、肺が硬くなり縮小し、血液中に酸素が取り込まれにくくなる病気です。

主な症状には息切れや乾いたせき、易疲労感などがあります。

完治させるような特効薬はありませんが、進行を防ぎ症状を軽減する方法があります。

禁煙することで予防になります。

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