介護士ならしっておくべき褥瘡になりやすい部位と予防方法
介護現場に付きまとうリスクの一つに褥瘡があります。
褥瘡とは床ずれともいわれ、身体の接触面から受ける圧迫によって皮膚と皮下組織の抹消の血液循環が悪くなることで壊死を引き起こすことです。
特に自分で寝返りをうつことが難しい要介護者はこのリスクが高く注意が必要です。
さらに、褥瘡から敗血症に感染すれば死に至ることもあります。
ここでは、褥瘡の予防について説明しています。
~褥瘡になりやすい部位とは~
姿勢によって褥瘡になりやすい部位は異なります。
また、栄養状態が悪い方や皮膚が弱い方、むくみが強い方は摩擦やずれといった刺激でも褥瘡になりやすいです。
<仰臥位の場合>
・後頭部
・肩甲部
・仙骨部
・かかと
<側臥位の場合>
・耳
・肩
・肘
・腸骨
・膝
・くるぶし
<座位の場合>
・背部
・尾骨
・坐骨
~褥瘡の見分け方~
指で赤くなっている部分を軽く3秒ほど圧迫する、指押し法という見分け方があります。
押すと白っぽく変化し、離すと再び赤くなるものは褥瘡ではありません。
押しても赤みが消えずそのままの状態であれば、初期の褥瘡の可能性があります。そのような場合は直ちに医療関係者に報告しましょう。
~褥瘡の予防~
褥瘡の予防にはよく体位交換が重視されますが、それだけでなく栄養管理なども重要なポイントです。
①定期的な体位交換を行う
長時間同じ姿勢でいると身体の一部に集中的に圧力がかかるため、寝たきりの方の場合は2時間ごとに体位交換を行いましょう。
ベッドでは仰臥位、側臥位(左・右)が交互になるようにしましょう。枕やクッションを利用すると圧迫やずれが緩和されます。また、30度側臥位も有効です。
ベッドを起こす時は、ずり落ちない限度の角度である30度までにしましょう。このとき、頭のみを上げると身体がずり落ちて褥瘡につながることもあるため、足を少し上げてから頭を上げるようにしましょう。
車いすなどに長時間座る場合は、体圧分散機能のあるクッションを使用し(接触する皮膚部分に圧迫される上、姿勢が不安定になるため円座は使用しないこと)約15分に一度お尻を浮かせて座り直すようにしましょう。また、長くても2時間に一度は必ず15分以上の横になって休息をとるようにしましょう。
その他にも、シーツのしわや衣類の縫い目が皮膚に当たらないように注意しましょう。
②栄養管理
栄養状態が悪いと褥瘡になりやすくなるだけでなく、治りにくくなります。
たんぱく質やビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂取しましょう。
食欲のない方には、必要に応じて高カロリー流動食を食べてもらうことも検討しましょう。
③褥瘡防止用具を使用する
これは最も基本的な予防方法です。
褥瘡防止用具にはエアマットレスやウレタンフォームマットレス、体圧分散クッションなどがあります。身体の状態や症状に合わせて使用しましょう。
④入浴・清拭
弱酸性の石鹸で優しく拭き取る程度の清拭が望ましいです。
石鹸が残らないようにぬるめの湯でしっかりと流し、乾燥しないように保湿もしましょう。
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