ACT長期入退院、包括的地域生活支援プログラムについて
ACT(Assertive Community Treatment)とは、長期入院や入退院を繰り返す重度の精神障害者を対象にした包括的地域生活支援プログラムです。
症状が重くても地域で生活することを目的に、様々な職種からなるチームによって医療・保健・福祉のサービスを直接提供しています。
【ACTの特徴】
ACTの主な特徴として以下のようなものがあります。
①多職種によるチームアプローチ
チームには医師や看護師、ソーシャルワーカー、作業療法士、PSWなど多職種の専門家がいます。
また、チーム全員が全ての利用者について十分な知識を持っており、分担して支援を行っています。
②スタッフと利用者の比率
スタッフ10名程度に対して利用者100名程度を上限としています。
つまり、スタッフ1人に対して利用者は10~12名となります。
ACTの対象は重度の精神障害者であるため、質の高いサービスを提供するためにはこの比率が限界です。
③アウトリーチ(訪問支援)
病院やクリニックのように利用者が通うのではなく、自宅や職場など利用者が生活している場へスタッフが直接出向いて援助を行っています。
④年中無休
24時間毎日サービスを提供しています。
夜間は電話で対応しています。
⑤多領域のサービスを直接提供する
仲介型ではなく、保健・医療・福祉のサービスをチームが直接提供しています。
また、ニーズに応じて服薬管理や金銭管理、外出支援など柔軟なサービスを提供しています。
⑥期間を設けていない
重度の精神障害者を対象としているため援助提供期間はなく、一定期間永続的にサービスを提供しています。
【対象基準】
加入基準は各地域の実情に合わせて異なりますが、基本的には重度の精神障害者でニーズの高い方が対象となります。
①年齢
18歳~65歳
②疾患
統合失調症・双極性感情障害・重症うつ病を主診断として持っていること。
※主診断が発達障害・知的障害(IQ50以下)の場合は対象外となります。
③日常生活機能
一人では日常生活・安全管理・危機回避や社会生活が営めない状態が6ヶ月以上続いていること。
④精神科医療との関係が以下のいずれかを満たしていること。
・1年に2回以上の入院または年100日以上の入院をしている。
・地域や家庭でトラブルがあり、地域生活の継続が困難である。
・1年以上の長期入院者で心理社会的要件から退院が困難になっているもの。
・家族が通院中であるが本人は長期(1年以上)ひきこもっている。
・地域で発症が疑われているが、1年以上未受診である。
⑤GAF(機能の全体的評定尺度)が過去1年間継続して50点以下であること。
【提供しているサービス】
ACTでは様々な日常生活支援サービスを提供しています。
具体的には以下の通りです。
・リハビリテーションプログラム
例)買い物、料理、交通機関の利用、社会関係の援助など
・家族支援
例)心理教育、家族支援機関との調整、危機介入など
・就労支援
例)雇用主との調整、職探しなど
・服薬管理
例)薬に関する情報の提供、薬の注文、薬の配達など
・住居支援
例)住居探し、家事スキルの支援、家具の購入など
・カウンセリング
例)コミュニケーション技術を向上する支援、リハビリテーションとしてのカウンセリングなど
・金銭管理
例)請求書の処理の援助、金銭管理スキルの支援など
・公的手続きの支援
例)公的機関への同行、公的文書作成の援助、扶助費審査の援助など
・健康管理
例)予防的健康教育、急性期医療のための連絡など
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